マーケティングする時に非常に有効なフレームワークとしてSWOT分析があります。
マーケティング戦略を立てる上で必要な内部環境(自社の状況)と外部環境(市場動向)を把握します。
これによって自社が取るべき戦略を考えることができます。
自社の状況は、自分の会社ですので比較的簡単に調べることができます。
ですが外部環境を把握するためには様々な情報を理解する必要があります。
この記事では一般的に難しいとされる外部環境の分析方法に関して分かりやすく解説していきます。
SWOT分析とは
SWOT分析は内部環境(自社の状況)と外部環境(市場動向)を分析することで、市場の状況を把握するフレームワークです。
SWOT分析で市場を分析することで、自社の置かれた状況と市場の動向を俯瞰的に把握することができます。
SWOT分析では4つの視点を考えていきます。
①自社の強み(Strength)
②自社の弱み(Weakness)
③機会(Opportunity)
④脅威(Threat)
英語の頭文字からSWOT分析と呼ばれます。
SWOT分析の一例を載せます。
テーマ(市場)は天然素材のシャンプーで考えてみましょう。
強みは天然のイメージです。逆に弱みは天然素材の原料費や使用感の悪さなどを記入しました。
強みと弱みは自社の製品・サービスの特徴を記入していきます。
一方で外部環境の機会では環境問題へ訴求できる点、脅威ではライバル企業が乱立している点を上げました。
このように機会や脅威に関しては、自社の分析ではなく、外部環境を調査する必要があります。
それでは外部環境に関してどのような調査をすればよいのでしょうか?
外部環境を考えるうえで重要なヒントとなるファクターを解説していきましょう。
外部環境の分析で重要な視点について
外部環境は、マクロ環境とミクロ環境で考える必要があります。
マクロ環境とは社会の動向や政治情勢、地政学的リスクなど、社会全体のありさまを言います。
ミクロ環境とはもう少し焦点を絞って、消費者の志向の変化や競合企業の状況などマーケットを取り巻く環境のありさまを言います。
マクロ環境とは
マクロ環境にはどのような因子(ファクター)があるのでしょうか。
調べる必要があるファクターを解説していきます。
①経済的環境:GDP成長率、景気動向、失業率、可処分所得
ようするに現在が好景気か、不景気かです。
好景気の場合は高いものが売れますが、不景気の場合は消費は抑えられます。
②人口動態的環境:出生率、人口規模、年齢層、世帯構成
年齢層や世帯構成などです。
現在の日本では老齢人口が増加しています。
このため若者よりも老齢者をターゲットとしたビジネスのほうがマーケットは大きそうです。
人口動態的環境を把握することで、どのセグメント(分割された市場)をターゲットにするかの指針とすることができます。
③社会文化的環境:文化、国籍、宗教、人種、地域、イデオロギー
日本ではあまり実感しませんが、他民族国家では非常に重要なファクターです。
例えばイスラム教徒へ製品を販売するにはハラール認証を受けていることが重要です。
ハラールとはイスラム法で許されたもののことを言います。豚やアルコールがNGなことは有名です。
また日本国内においても文化の違いは重要な視点です。
ご当地によって味の試行が異なる点を想像するとよいでしょう。
関東のしょうゆはしょっぱく、関西はあっさり、九州は甘く濃いものを好みます。
④技術的環境:技術革新、産業に影響を与える生産技術、物流の変化
ネットショッピングの進展により、家電販売店が苦境に陥っている現在の状況を考えるとよいでしょう。
技術の変化によっては、これまでの商習慣を変えてしまう可能性もあります。
社会を変えてしまう存在、いわゆるゲームチェンジャーの台頭には注意を払う必要があります。
⑤政治・法律的環境:法律、政府の政策、規制緩和
政府の政策方針は非常に重要です。
昔から政商という言葉があります。政治自体がゲームチェンジャーなのです。
政府の政策はいち早く察知する必要があります。
当ホームページ内の「官公庁等の新着情報ポータルリンク」というサイトを閲覧すると政府の動向をいち早く察知できますので活用してみて下さい。
このサイトは官公庁の最新情報が1ページで閲覧することができます。
政府の政策変化にいち早く気づくことができます。
⑥自然的環境:天然資源、環境問題など
現在は環境問題に配慮して製品・サービスを提供する時代になりました。
製品・サービスの品質は良くても、環境問題に配慮していないと取引に支障が出ることも有ります。
それほど自然環境の問題は重要となってきています。
ミクロ環境とは
つづいてミクロ環境のファクターに関して解説していきます。
上で述べたマクロ環境より身近な視点で考えます。
①消費者:消費者の購買行動の理由
どうしてその製品・サービスを買うのか、購買に至る行動原理を知る必要があります。
30~40歳代の壮年期であれば育児や教育に興味を持っている層が多いです。
彼らが購入したい製品・サービスは何でしょうか?
最近では教育にプログラミング言語が導入されようとしています。
教育熱心な両親であれば、勉強しようとするかもしれません。
このように消費者が何を欲しがっているのか、なぜそれを買うのかを分析していきます。
②競争企業:競争構造の変化など
競合企業が乱立しているのなら、価格競争は必至でしょう。
ビジネス上、非常に脅威となります。
競争ルールを変えてしまうようなゲームチェンジャーはいないでしょうか。
売り手市場でしょうか、それとも市場は成熟しているでしょうか。
③利害関係集団:供給業者、仲介業者、金融機関、メディア
企業は製造、販売、物流などのサプライチェーンのいずれかを担っています。
すべてをカバーする企業はほとんどありません。
つまり協力関係にある企業の動向は自社のビジネスに極めて重要なファクターなのです。
例えば強力な販売網を持つような小売店の販売成績が落ちている場合、
自社も販売先の多角化を図る必要が出てきます。
④産業状況:産業の規模、供給構造、流通構造
産業構造が変化した場合で最たる例はネットショップによる物流革命かもしれません。
従来の小売りの商習慣を変えてしまいました。
産業構造の変化は産業そのものを変えてしまいます。
脅威と見るか機会と見るかは戦略次第
SWOT分析において、外部環境分析は戦略を考えるうえで重要です。
上で述べたように、外部環境には多くのファクターがあります。
それらのファクターを詳細に解析することが外部環境分析のスタートと言えます。
その後、外部環境のそれぞれのファクターが、機会なのか脅威なのか見極めていく必要があります。
このとき注意しなければいけないことがあります。
それはある外部環境の変化が、機会とも感じるし、脅威とも感じる点です。
例えば出生率の低下を例に挙げましょう。
あなたのビジネスは子供服メーカーです。
出生率の低下は市場規模の縮小を意味しますので、「脅威」と捉えるかもしれません。
しかし祖父母あたりに占める子供の数も減少していると捉えることができます。
祖父母が可愛い一人の子供のために仕立ての良い洋服を買ってあげようと思うことは自然だとは思いませんか。
つまり現在は子供へ高級な衣類をプレゼントしやすい環境と言えるでしょう。
「孫への良い服をプレゼント」という少子化によってもたらされた変化は「機会」と言えるかもしれません。
SWOT分析は定量化して考えよう
SWOT分析は分析する人の偏った考え方(バイアス)のかかるマーケティング手法です。
特に外部環境は見方によっては「機会」にも「脅威」にもなります。
分析した外部環境を自社のビジネスに照らし合わせて、できる限り定量的に分析してください。
上の例であれば、出生率の低下は自社ビジネスに60%有利であるが、40%は不利となるなどです。
このように定量化して客観的に見ないとリスクの高いビジネスを開始してしまうかもしれません。
くれぐれも慎重に分析していくことが重要です。
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