新市場に参入する場合、投資リスクを抑えるために小さくスタートすることが重要です。
すでにある市場に参入しても、参入障壁がありますので投資額は大きくなります。
このためまだ強力なリーダー企業が存在しないような狭い市場で挑戦することが好ましいです。
このとき、どうやって市場を選択すればよいのでしょうか?
この記事では市場を細かく分割する方法、市場細分化(マーケットセグメンテーション)に関して分かりやすく解説したいと思います。
市場細分化の役割
市場細分化とは
市場差別化(マーケットセグメンテーション)とは、
市場を一定の規模を保ちながら同質的なニーズを持つ消費者の集合に分けていく方法です。
例えばペン(ボールペン、シャープペンなど)の市場を考えてみましょう。
ものを書くというニーズはどのペンでも満たすことができます。
ですがビジネスでは改ざんを防止するために、消すことができないボールペンが好まれます。
学校では間違いを訂正するためにシャープペンや鉛筆が好まれます。
服飾業界では布へのダメージを抑えるチャコペンがあります。
このように利用シーンによって様々な性質のペンが存在します。
ある市場では機能が劣る製品でも、別の市場では好まれるというチャンスはあるのです。
このように大きな市場を小さく絞って考えていくことを市場細分化と言います。
市場細分化をするメリット
すでに社会的に認知された市場では、強力なリーダー企業がいます。
このため新規に参入しようとしても、すでに参入障壁が築かれていますので参入には大きな投資が必要となります。
参入障壁については過去の記事「競争回避の戦略「参入障壁」を分かりやすく解説」を参考にして下さい。
大きな投資をしても、ビジネスがうまくいかなくなったときは大きな損失を抱えることになります。
ですから最初は投資額を抑えて小さくスタートすることが重要となります。
そこでユーザーを絞ることで(市場細分化)、特定のユーザーをターゲットにしてビジネスを開始するのです。
市場細分化してもリーダー企業が存在する市場は新規参入は難しいので、リーダー企業が参入していない市場を考える必要があります。
市場細分化する際の注意点
市場細分化することでリーダー企業との競争を回避することができます。
ですが市場規模を小さくしすぎないように注意する必要があります。
市場を細分化しすぎると、リーダー企業は旨みが無いため市場に参入する機会は減りますが、そもそも顧客が限られてしまうため利益は低くなります。
場合によっては設備投資の資金を回収できない可能性もあります。
例えば、上の例のペンの市場を考えていきましょう。
勉強中にペン回しをする癖のある人がいますよね。
そこでペン回しがしやすいような重心設計をセールスポイントとしたペンを販売しようとします。
この場合、ペン回しを重視するユーザーはどれくらいいるでしょうか。
欲しいという方もいると思います。しかし設計、開発、設備投資にかかる資金を回収できるほどの市場規模でしょうか。
このように投資資金を回収して、かつ利益をあげられないと思われる市場にまで細分化することはできません。
市場細分化の基準
市場細分化の基準となる要素を解説していきます。
市場細分化に困った場合、ここで紹介する要素で分けて考えて下さい。
①地理的基準
地域性や、気候、人口密度など地域の特性を分析して市場を細分化します。
猛暑日が継続しやすい地域の場合、熱中症対策に有効な商品が好まれます。
関東と関西でうどんの汁の味が異なることは地域の特性を生かしていると言えます。
②人口統計的基準
年齢、性別、所得、職業、学歴、宗教、国籍など人の特性、地位などに着目した方法です。
高学歴の両親を持つ子供であれば、学習教材へ支払うモチベーションも高いでしょう。
建築業に必須なインパクトドライバーという工具があります。素人のDIY目的であれば多少性能が悪くても安価なら受け入れられます。
③心理的基準
消費者の価値観や、ライフスタイルに着目した方法です。
天然素材にこだわる価値観を持つ人をターゲットにするのであれば、多少使い勝手は悪くても天然というワードで訴求できます。
④行動変数基準
消費者の製品に対する使い方、反応など、行動的側面に焦点を当てます。
例えば、消費者が一日に使用する回数などを考えていきます。
男性なら3回使用する製品が、女性なら6回使用するかもしれません。
このように人の行動に着目して市場を細分化していきます。
欠点と思える製品も細分化された市場では長所になる
製品は最先端じゃなければ売れないと思っていませんか?
あなたの製品は、あるユーザーにとっては「ちょうどいい」、「お手ごろ感」と思われているのかもしれません。
らくらくスマートフォンは、機能を制限し、高齢者層へ使いやすさで訴求して大成功を収めました。
今の市場では競争力が無いと思われている製品・サービスも市場を変えればそれが長所と思われることもあり得ます。
どの市場に製品・サービスを投入してアピールするか、市場細分化をしてよく考えてみましょう。
製品は最先端じゃなくても必要としている層は必ずあるのです。
そのユーザー層を発見することが、商品開発では重要なのです。
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