製品は生まれてから、成長して、やがて衰退して販売中止に至ります。
まるで人生のように、製品にも成長過程があるのです。
今回は製品の人生、すなわち製品ライフサイクル(プロダクトライフサイクル、PLC)を解説します。
製品には寿命がある
当然ですが製品には寿命があります。
ビデオテープがDVD、そしてブルーレイに代わっていったように、かつて隆盛を極めた製品も必ず陳腐化する時がやってきます。
製品の寿命はまるで人間の一生のように、乳児期を経て大人になり、やがて老いていき死に至るライフサイクルをたどります。
この製品寿命のサイクルを製品ライフサイクル(Product life cycle=PLC)と呼びます。
製品ライフサイクルの中で最も利益を上げる時期は決まっています。
製品ライスサイクルを解説
まず製品ライフサイクルに関して説明していきましょう。
製品ライフサイクルは、1950年にジョエル・ディーンが提唱した理論です。
製品は開発期から導入期、成長期、成熟期を経て衰退期でその役割を終えます。
開発期
研究開発期で、企業は開発費を投じてサンプルワークを開始する段階です。
フィージビリティスタディの段階がこの期間に当たります。
市場の感触を確かめて、成功確度が高まれば経営資源を一気に投入しようとするでしょう。
この時期は開発費がかさむため、キャッシュフローはマイナスです。
導入期
長い開発期間が終わり、やっと売り上げが立つ時期です。
この時期に購入するユーザーはイノベーター層と言われます。
物珍しさからいち早く購入したい層が買いますが、イノベーター層は多くはありません。
まだ開発に投入した資金を回収できない時期となります。
残念ながらまだキャッシュフローはマイナスのままです。
成長期
製品が優れたものであれば、成長期に突入します。
この時期にユーザーは一機に増えるため、売上高は指数関数的に増加していきます。
売上高に引っ張られる形でようやく利益が出てくる段階です。
ただし儲かるとわかったため、ライバルも参入してきて熾烈な競争が繰り広げられていきます。
ライバルと差をつけるため研究開発費を集中投入しますので、利益は限定的となります。
また広告費もかける必要があるため、まだ金のなる木(キャッシュカウ)には程遠い時期です。
成熟期
売上高の伸びが緩やかになってきます。
市場が形成されて、ようやく市場規模が見えてきた段階です。
ここに至った段階では規模の経済性、経験曲線効果などによって優位に立つ企業(勝ち組企業)がはっきりしてきます。
残念ながら競争に負けた企業はこの段階で撤退を考えるでしょう。
また新規参入企業は規模の経済性による参入障壁によって参入できなくなるでしょう。
この段階になってようやく利益は最大になります。
なぜなら他社との競争が無くなるため、開発費や広告費を投入する必要が無くなるからです。
衰退期
残念ながらあなたの製品はその役目を終えようとしています。
市場規模は縮小していき、別のイノベーションを成功させた製品がその市場を食い荒らすでしょう。
かつてのカセットテープがCDに、フィルムカメラがデジタルカメラに取って代わったように、
製品はもはや世の中には必要とされなくなったのです。
この段階では撤退するか、縮小された市場で生きるかを選択する必要があります。
損して得取れの精神が儲かる企業を生む
最も儲かる時期は成熟期です。
ただここに至るまで多くの研究開発費を投入し、ライバルとのし烈な争いを超える必要があります。
本当に儲かる企業になるには、勝って生き残る必要があるということです。
また研究開発費を投入する企業が相対的に利益を上げやすくなることは中小企業白書のデータ*でもはっきりと出ています。
「損して得取れ」すなわち、投資して勝ち残ることこそ、ビジネスの本質なのかもしれませんね。
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