製造業や建設業などとは違って、サービス業は形が残らないという特徴があります。
例えば映画を見た場合、映画を見たという記憶は残りますが、映画を見たときの興奮はやがて薄れていきます。
このようにサービス業は支払った金額に対して、形が残らない体験を販売することが特徴となります。
モノが残らないので製造業などの有形財のマーケティングとは異なる対応が必要となります。
この記事ではサービス業の特徴と、マーケティングの対策に関して解説していきたいと思います。
サービス業の特徴
サービス業は形の残らない体験を販売します。
形が残らないので無形財とも言われます。
サービス業が提供する無形財の特徴は5つあります。
これらの特徴を把握することで、サービスの品質を改善していくことができます。
①無形性
形が無いものを販売するという意味です。
サービス業は体験を販売します。
ユーザーは支払った金額に対して体験を得るわけですが、体験に不満があれば、有形財(製造業)と比較して強烈に不満を覚えます。
この不満を解消するには、有形性を高める仕掛けを用意する必要があります。
例えば映画なら、パンフレットを販売することで、形を残してあげるのです。
教育であれば、資格認定なども有形性を高めるビジネスと言えます。
②品質の変動性
品質にばらつきが生じやすい特徴を持ちます。
例えば、美容室の場合、切る美容師によって技量が異なります。
また切る長さに関しても変動があるのは皆さんも体験されたことと思います。
品質を安定させるには、接客員の教育や、マニュアル化が有効です。
また人で行っていた作業の機械化も考えてみましょう。
飲食店であればセントラルキッチンで調理するなど、品質を安定化させることも有効です。
③不可分性
生産と消費が同時に生じます。
散髪する場合、髪を切る作業と、散髪の体験が同時に起こります。
1つのサービスを不特定多数に販売しにくいため、生産性を高めることが難しい特徴があります。
生産性を高めるためには、不特定多数に販売する仕掛けづくりが必要です。
例えば美容室の場合、髪を切るのは一人にしかできませんが、整髪のテクニックをノウハウ化して販売すれば不特定多数にサービスを販売することができます。
④消滅性
生産と消費が同時に生じるため、在庫を持つことができません。
従って急な需要に対応できない特徴があります。
カリスマ美容師に切ってもらいたくても、その美容師は一人しかいません。
髪を切ってもらうのに数か月を待たなければならないかもしれません。
その期間は機会損失となります。
在庫を持つことができませんので、対策としては効率化などが有効です。
例えば、髪を直接カットする作業はカリスマ美容師に任せて、洗髪やその他の工程は別の美容師が担当するのです。
⑤需要の変動性
製造業と比較して季節、時間帯、週によって需要が変動する傾向が強いです。
電車の場合、朝夕の通勤ラッシュには需要が急増します。
対策は需要を均一化することです。
通勤時間を変えてもらうことも需要の均一化につながるでしょう。
または利用者の少ない時間帯は女性専用列車を開放することで、利便性を高めていることも対策の1つです。
サービス業でも有形財を提供すると不満は少なくなる
サービス業は形が残らない特徴を持ちます。
この形が残らない欠点をいかに形が残るようにするかが顧客満足に繋がります。
単純にサービスを提供するのではなく、何か形にできないか考えてみてください。
人はお金を支払った場合、ひどい自己犠牲を支払った感覚に陥ります。
ですからサービスに不満があった場合、支払った金額に対して、何も残らないと強烈な不満を覚えるようになるのです。
ですから積極的に形として残る方法を考案するべきです。
形として残る場合、多少の不満があっても我慢するものです。
無形財の有形財化がクレームへの一番の対策になるのです。
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