先発の優位性と後発の優位性 | 特徴を把握して新規ビジネスに活かそう

経営学

企業は競争相手と長年競争を繰り返します。

時には先に野心的な製品を出すこともあり、時にはライバル企業の製品を模倣することもあります。

競争相手よりもいち早く市場に参入することで得られるメリットを先発の優位性模倣することで得られるメリットを後発の優位性と呼びます。

先発の優位性、後発の優位性のどちらが本当に優位なのでしょうか?

この記事では先発の優位性と後発の優位性のメリット・デメリットを解説します。

新規ビジネスを始める際に、どのようなメリットとデメリットがあるのかを把握しましょう。

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新規ビジネスの先発・後発とは?

新規ビジネスを始めるときに、周りにライバル企業がいない場合、そのビジネスは先発ビジネスとなります。

一方で別の企業が先行してビジネスを展開していた場合、あなたの新規ビジネスは後発ビジネスとなります。

先発の優位性、後発の優位性のメリット、デメリット

先発の優位性および後発の優位性のメリット、デメリットに関して解説していきます。

先発の優位性

まず先発企業に関して、その特徴を解説していきます。

ユーザーの心の中に強力なブランド連想を構築できる。

まだ誰も挑戦したことのないビジネスです。

このため市場が形成されてあなたのサービスが受け入れられたときは知名度が極めて高くなります。

あなたの製品・サービスをお客様がすぐに思い浮かべるほどの知名度を獲得できます。

これをブランド連想と言います。

例えばジーンズと言ったらエドウィンを連想する、などのようにある製品を考えたとき思い浮かべる製品が当てはまります。

あなたの製品は市場で最も有名です。

このため別の製品を探し当てたお客様は比較対象として、一番有名なあなたの製品と比較することになります。

B2Bビジネスは特に比較検討することが多いため、ブランド連想される製品は選ばれやすいと言えます。

早期に経験曲線効果を実現できる

経験曲線効果とは累積生産量に伴ってコストが下がる経験則を言います。

経験曲線効果とは累積生産量が増加するに従ってコストが低くなるという経験則を言います。

累積生産量が増加するにしたがって、社内にノウハウが蓄積されます。

この経験豊かな現場はなかなか作れるものではありません。

長期にわたるカイゼンによってノウハウが得られるのです。

市場がノウハウを必要とする業界だった場合(特に素材産業でしょうか)、

参入障壁は高い市場と言えます。

先にサービスを始めることでノウハウが蓄積してきます。

このノウハウは新規ビジネスを始めようとする後発企業には得られないものです。

製品の品質・価格は競争対象にすることができますが、市場で長い間培われてきたノウハウは簡単には手に入れることができない利益の源泉なのです。

高価格でも購入するイノベーター層を取り込むことができる

新製品が発売されたときに、真っ先に買ってくれるお客様は重要な顧客となります。

このようなお客様をイノベーター層と言います。

新製品の発売までには開発費が多くかかります。

設備投資している場合、この費用を早期に回収しないと会社組織的に問題となります。

このため担当者は早期に資金を回収したいのです。

イノベーター層は新しい物好きですので、製品を購入する際に言い値で買ってくれます。

このためイノベーター層を取り込める先発企業は高価格で販売することができます。

先発企業は世の中にない製品・サービスを提供します。

製品の規格を決めることができる。いわゆるデファクトスタンダードとなる

この製品・サービスが業界のスタンダード、いわゆるデファクトスタンダードになります。

デファクトスタンダードとは、業界で認識された標準のことです。

例えば文章を書くときにはマイクロソフト社のワード(Word)を使用することが一般的です。

過去にはワープロソフトが多くありましたが、今では一般的なビジネスシーンではワードしか使用しません。

このようにデファクトスタンダードを構築すれば、他の企業もその業界標準に従わざるを得ません。

特許化されていれば、ライセンス料を受けるなどのメリットがあります。

ユーザーは切り替えコストに費用がかかる

お客様が他社製品へ乗り換えるためには切り替え費用(スイッチングコスト)が掛かります。

多少、品質がよく、安いくらいでは簡単には乗り換えません。

先発企業の製品・サービスを利用してきた思い入れ、経験などがノウハウとして蓄積しているからです。

ようするに切り替えは面倒くさいのです。

このような面倒臭さを乗り越えるためのコストを切り替えコストと呼びます。

他社製品に乗り換えようとする場合、品質・価格・切り替えコストを考えて、

それでやっと乗り換えようとするのです。

先発企業はこの切り替えコストを支払う必要が無いので他社に対して優位性を持っています。

優秀な人材、立地条件、希少資源などの優位性を確保できる

先発企業は最先端企業です。

大学やベンチャー企業で最先端の技術を開発した人材の活躍の場を提供することができます。

後発企業はすでに優秀な人材を先発企業に取られていますので、人的資源が未熟なケースが多いです。

ビジネスは人が極めて重要です(これは著者の個人的な見解ですが)。

優秀な人材を先に獲得できる先発企業はそれだけで優位性を確保できます。

後発の優位性

続いて後発の優位性を解説します。

上で述べた先発の優位性を読んでもらうと、後発は不利なんじゃないかと思う方もいらっしゃうかと思いますが、

後発企業にも優位性はたくさんあります。

市場開拓が済んだ市場に参入できる

先発企業の場合、未知の製品・サービスを市場に投入することになります。

このため市場に認識してもらうために多額の広告宣伝費を支払う必要があります。

ですが後発企業の場合、すでに形成されている市場に製品・サービスを投入することができます。

ニーズはすでにありますので、市場を創るという多額の投資が必要なくなります。

また先発企業の製品・サービスの問題点や課題点が明らかになっています。

あとは品質・価格などでその問題点を解消すれば優位性を確保できます。

先発企業と比較して不確実性の少ないことは多くの投資を抑えることができます。

広告コストを節約できる

先発企業は市場開拓のために多くの宣伝広告費を支払う必要があります。

社会に認識してもらう必要があるからです。

一方で後発企業はすでに認識されている市場に投入することになりますので、

先発企業の問題点を解決させる機能のみを宣伝すればよいのです。

このため広告コストを抑えることができます。

模倣するので、研究開発費を抑えることができる

後発企業は製品・サービスの規格がある程度決まっている市場に参入します。

すでにある製品・サービスを改良してメリットを打ち出せば優位性は確保できますので、

研究開発を先発企業の問題点・課題点にフォーカスすればよいのです。

このため研究機関を短くすることができますので研究開発費を抑えることができます。

顧客の変化に対応しやすい

先発企業は自社製品が業界標準ですので、その製品・サービスを否定することが難しくなります。

既存のお客様へ製品・サービスを提供し続ける責任も生じますので、

なおさら新しい製品・サービスを構築するのには抵抗があります。

このような現象をイノベーションのジレンマと言います。

一方で後発企業は、先発企業の問題点や課題点を解決することが優位性になります。

課題解決のために多くの新技術を導入することができます。

先発製品・サービスを否定することができますので、

時代の変化、新技術の台頭、顧客の変化にいち早く気づくことができます。

先発、後発、どちらを狙うべきか

先発と後発、結局どちらが優れているの?

正直、この問題への回答は難しいです。

ケースバイケースで考える必要があります。

投資資金が豊富にある場合

資本が潤沢にあるのであれば、先発の優位性を狙うべきです。

先発の優位性の特徴で見たように、先行者利益は非常に高いです。

一方でニーズはまだ定まっていないうちに研究開発を開始しますので、需要を取り込めないとプロジェクトは頓挫する可能性があります。

つまりハイリスクハイリターンのビジネス戦略と言えます。

投資資金があまり無い場合

後発の優位性を狙う方が良いです。

新市場を形成させるための宣伝広告費、研究開発費を抑えることができます。

先発企業の問題点・課題点を克服することに注力すればよいので、

限られた経営資源を集中させることができます。

一方、後発企業はすでにニーズがある市場に参入するわけですから、

広告費用を抑えることができます。先発企業を模倣するだけで良いのです。

しかし先発企業がすでに強力な参入障壁を築いていることも多いため、

利益は先発企業ほど得られることはないでしょう。

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