ドメイン戦略を決めることは、経営戦略を策定する上で重要な課題です。
この記事ではドメイン戦略の設定方法、活用方法について解説していきたいと思います。
ドメイン戦略とは
ドメインとは将来にわたって企業が営業活動をする市場、すなわち企業の生存領域を言います。
ドメインを設定することで、御社がどのようなマーケットで勝負したいかを決定します。
ドメインを設定する意義
ドメインを設定する意義は以下の通りです。
ポイント
①今後の事業の方向性の指針になる
②どのような経営資源(ヒト、モノ、カネ)の蓄積が必要かについての指針になる
③組織としての一体感をつくる
具体例を出して説明します。
例えばあなたの会社が化粧品を製造するメーカーだったとしましょう。
「きめ細やかに伸びるファンデーション」の開発に成功し、自社ブランドが順調な売上を記録しています。
ここで社長のあなたは考えます。今回の「きめ細やかに伸びるファンデーション」で得た利益を得て、次のビジネスを展開してみよう。
あなたはどのようなビジネスを考えますか?
①ファンデーション基材(原料)を他社に販売する
②実績をもとに、ファンデーション基材の受託業務を請け負う
③ファンデーションの改良品を開発
④得られた資源を原資にビジネスの多角化を図る
などなどいろいろな戦略が考えられると思います。
ですが経営資源は限られていますので、優先順位を決める必要があります。
ドメイン戦略の設定はこの優先順位の決定に役立つのです。
ドメイン戦略は優先順位の決定に役立つ
ドメインを決定することで、業務の優先順位の決定に役立てることができます。
先ほどの化粧品会社の例をもとに考えてみましょう。
例えば化粧品会社のドメインを「化粧品原料を提供する会社」とした場合どうでしょう。
おそらく、この会社はファンデーション基材の販売を優先して他社に販売しようとするでしょう。
一方で、ドメインを「女性の美を追求する」とした場合はどうでしょう。
「美の追求」という言葉をもとに、原料の高機能化の優先順位を高くしようとするでしょう。
このように、ドメインを決定することで、業務の優先順位は大きく左右されることになります。
ドメインの設定方法
ドメインの設定に重要なことは2点あります。
①ドメインの広さ
②定義(物理的、機能的)
まずはドメインの広さから解説します。
ドメインの広さ
ドメインを広くしすぎる場合
自社の専門分野以外のことに目が向きやすくなります。
多角化戦略を採用する場合にはよいのですが、失敗に終わることも多く無駄な投資になるかもしれません。
また多角化するので経営資源が分散されやすくなります。
ドメインが狭すぎる場合
経営資源の集中が図れます。
いわゆる選択と集中です。
一方で顧客ニーズに適合できなくなる可能性もあります。
お得意先が本当にしてほしいコト(体験)は物品の販売だけでしょうか?
ドメインの定義
次にドメインの定義に関して解説します。
ドメインの定義には「物理的定義」と「機能的定義」があります。
物理的定義
モノを中心にドメインを定義していきます。
例えば、化粧品メーカーであれば「化粧品素材を作る」、「ファンデーション」を作るなどがドメインとなります。
デメリットとして事業活動の展開範囲が狭くなります。
またドメインを超える発想がしにくくなる傾向があります。
機能的定義
顧客のニーズ、コト(体験)を中心に考えます。
例えば化粧品メーカーのドメインが「女性の美を追求する」だった場合、「美」とは何かを考えます。
「美は体内から」と考えた場合、健康食品のブランドを立ち上げるかもしれませんし、ファッション分野へ進出するかもしれません。
自社のドメインを超えたビジネスアイデアの発想ができるようになるメリットがあります。
一方でデメリットはドメインが抽象的になってしまいます。
社員は美を独自に解釈してしまうかもしれません。
経営資源を分散させることになるでしょう。
4、最後に
ドメイン戦略は慎重に決める必要があります。
自社の生き残りたい領域、将来ありたい姿、経営資源の状況などを総合的に分析して、最適なドメインを決定しましょう。
ドメインが決まったら、全社員に浸透するまで徹底的に啓蒙することが重要です。
それぞれの立場において意思決定に困ったとき、
どのように決断するか?
その指針になるのが定義されたドメイン戦略の本質なのです。
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